音楽とは関係ないのですが、今日の福島民報新聞の“あぶくま抄”コラム記事に、共感できるものがありましたのでそのまま転載したいと思います。
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〈目覚めると、ベッドの中の自分が…毒虫に変わっていることに気がついた〉F・カフカの小説「変身」(山下肇・万里訳)の一節だ。もしアイナメに心があるなら、同様の不条理に戸惑っているはずだ▼福島第一原発の港湾内の一匹から、1キロ当たり51万ベクレルの放射性セシウムが検出された。これまで捕獲された魚類では最大値で、基準の五千百倍にも当たる。原発から高濃度の汚染水が海水に流出し続けており、「セシウムが濃縮された結果」とされる。東京電力は「魚の駆除や港湾口の閉鎖などを進めたい」としている▼港外へ泳ぎ出たり、風評被害を防いだりするため、対策が必要には違いない。とはいえ、駆除は「(害虫などを)薬品などを使って、追い出したり、殺したりすること」を意味する。アイナメは「愛魚女」とも表記するほどおいしく、釣り人にも人気が高い。古くから親しまれてきた。「害魚」扱いは、手のひらを返したようだ▼事故後、警戒区域では牛や豚、鶏など家畜が「殺処分」された。邪魔なものを排除する-。使われる言葉の背後に、思い上がりや他の生きものへの蔑視が見え隠れする。変わるべきは、むしろ人間ではないか。