ハンプトン ポリプティック エディション スーラージュ 美術館10周年記念~アーティストの作品からインスピレーションを得た時計作品
ボーム&メルシエは、2022年10月26日にこの世を去った巨匠ピエール・スーラージュの作品のひとつを元に制作されたタイムピースとして 2作目となる非常に感慨深いユニークな作品を発表します。偉大な画家ならびにロデーズのスーラージュ・ミュージアムとの素晴らしいコラボレーションの賜物となる独創的な新作は、スーラージュに捧げるオマージュであり、彼がわれわれに遺した心を打つヘリテージを力強く美しく体現しています。
「ハンプトン ピエール・スーラージュへのオマージュ ポリプティック エディション」ウォッチは、「Peinture 324 x 362 cm, 1986, Polyptyque I Edition」と題された、「ウートルノワール」シリーズの絵画からインスパイアされています。
『ピエール・スーラージュとボーム&メルシエを結ぶ絆。 それは、人、芸術、 技術、 ミュージアム、そして 時計など様々なレベルで 繋がっています。2022年2月に発表された最初のタイムピース「ハンプトン ピエール・スーラージュへのオマージュ」は、偉大なアーティストであるピエール・スーラージュに対するボーム&メルシエの称賛の証です。そして本日発表する、このアーティストへのオマージュとなる2 作目のウォッチは、 ボーム&メルシエ のコラボレーションをクリエイティブに体現するという夢の実現に当たります。コラボレーションは、2021年6月にピエール・スーラージュが妻のコレットとともに、南仏のセートにある邸宅に 我々ボーム&メルシエを招待したときの、最初の出会いから始まりました。
2本の針にデリケートなゴールドのアクセントをあしらうことを彼が提案したとき、彼がこのファーストウォッチだけでなく、それに続くウォッチのデザインもボーム&メルシエ と共に考えたいと欲している 印象をうけました。』デビッド・ショーメ(スイスのウォッチメゾン ボーム&メルシエ CEO)
『芸術、時計製造、技術面でのアライアンスのように、今回の文化的なパートナーシップの中で繰り広げられるのは、人間の冒険です。まるでそれを乗り越えるかのように、我々を 結集させたのは時計です。』
ブノワ・デクロン(ロデーズにある文化協力公施設法人 スーラージュ・ミュージアム[EPCC ]館長、チーフ・キュレーター)
ランゲ&ゾーネコピー n級品プロジェクトの始まり
ちょうど1年ほど前、ボーム&メルシエは謙虚かつ誠実に、ピエール・スーラージュ作品で国際的に知られるスーラージュ・ミュージアムにアプローチすることに決めました。スーラージュは2005年に、作品 250点と資料 250点のコレクションをグラン・ロデーズ都市圏共同体に寄贈しています。そこでこの寄贈品を収蔵するために、ミュージアムが建設されました。このミュージアムはまさに画家のアトリエの延長のようなものであり、彼がこよなく愛したアヴェロン県の伝統を体現しています。
ピエール・スーラージュとスーラージュ・ミュージアム
2021年の春、ピエール・スーラージュと妻のコレットは、ボーム&メルシエのチームを南仏セートにある邸宅に招待しました。チームはすぐさまスーラージュのシンプルで柔軟な人柄に魅了されました。彼が体現している才能を超えて、即座に共感を呼んだのです。スーラージュ・ミュージアムのキュレーターも同席していました。もてなしは温かいものでした。
最初の交流は、視覚的で長時間にわたり感嘆を覚えるものでした。続いてボーム&メルシエのアーティスティック・ディレクターが、ピエール・スーラージュに最初のデザインプロジェクトを委ねました。彼はアイディアだけでなく、製品の芸術的なアプローチにも夢中になりしました。こうして創作のプロセスが始まったのです。
光と影に関する彼の仕事を再現し、作品「ウートルノワール」をタイムピースの中で縮小化する方法をテーマに、活発な意見交換がなされました。各自が時間についての独自のビジョンを述べ、そろって他者からインスピレーションを得ました。コレット・スーラージュとミュージアムのキュレーター もまた、 この芸術の 進化に関する 意見交換 に参加しました。目を輝かせ冴えた頭で、ピエール・スーラージュは意見交換に活発に参加して、技術及びデザイン面でチームにチャレンジを挑みました。
彼は可能な限り目立たない時刻表示に言及しました。彼の絵画の世界を時計で表現するうえで、彼は寛容で寛大な ガイド 役になりました。彼はタイムピースの全体的な趣を宙に浮かんだような印象にすることを提案しました。 そして標準的な 2本の針のフォルムを超越し、卓越した独創性を発揮して、ダイヤルの上に浮かんでいるかのように見える、針の先端に取り付ける球形をデザインし始めました。
続いて彼はブラックとのコントラストが際立つように ゴールドカラーで描きました。グループでのデザインミーティングは スーラージュのアトリエで続けられました。これは、魅力的なアーティストのすぐ側で過ごすかけがえのない時間でした。彼はメゾンのクリエイションに影響を与えているアプローチへと、独自の方法でボーム&メルシエのチームを導きました。 特別な タイムピース「ハンプトン ピエール・スーラージュへのオマージュ」は、この素晴らしい出会いを永遠に不滅にするものであり、ボーム&メルシエは画家スーラージュに捧げるタイムピースを世に送り出せたことを誇りに思っています。
(参考:https://watch-media-online.com/news/5301/ )
ウォッチ「ハンプトンピエール・スーラージュへのオマージュ ポリプティック エディション」は、スーラージュのすべての個性を備えており、現代アーティストのビジョンとボーム&メルシエのビジョンの融合を象徴しているだけになおさら、彼へのオマージュとなるのです。
今回のスペシャルエディションは、ファーストエディションの発表以来メゾンが正真正銘の強い絆で結ばれている、ロデーズにあるスーラージュ・ミュージアムのオープン 10周年を記念するものでもあります。
ピエール・スーラージュのヘリテージ
ピエール・スーラージュの作品からインスパイアされたタイムピースをデザインすることは、ボーム&メルシエにとって、アートに対する称賛の証であり、 20 世紀と 21 世紀にわたり最も人々を魅了してきたアーティストの一人から多くのものを受け取ったことへの感謝の証です。驚嘆から問題提起まで、彼の作品は絶えず感性と精神を豊かにし、われわれを夢中にし続けます。
彼の逝去以来、継承という考えが一人一人の中で一段と強くなっています。 特別な タイムピースを誕生させたクリエイティブな交流は、メゾンの歴史の中に誇らしく刻まれる大切なヘリテージです。
黒から光へ
1979年以降、ピエール・スーラージュはキャンバス全体を黒で覆っています。より正確に言うと、彼はツールやブラシで細工した異なる状態の黒を重ね合わせ、シャイニー、マット、パウダリー、フラット、スムース、ストライプ、ポリッシュ、突出と、次々にさまざまな黒を引き出しています。彼は黒が反射する光を強調し、絵の具の質感に手を加えて効果を生み出し、黒のアクリル素材に刻みを入れて、浅浮き彫りの形で艶やかさとマットさ、起伏と平面を交互にしています。
この作品のシリーズ、「Noir Lumière (ノワール リュミエール黒光)」は、 1989年以降「Outrenoir(ウートルノワール 黒を超える黒)」 というタイトルになりました。ウォッチのダイヤルのインスピレーションの源になった絵画は、このシリーズの作品です。
「 Peinture 324 x 362 cm, 1986, Polyptyque I 」 はサイズ 324 x 362 cm のキャンバスに油彩で、重なり合う 81 x 362 cm の 4つの要素で構成される巨大なポリプティックです。この作品はロデーズのスーラージュ・ミュージアムに所蔵されています。
「ウートルノワール」に数多く含まれる、複数のパネルで構成された作品であるポリプティックは、質感のコントラスト、横方向と縦方向のベタ塗りの重ね合わせ、そして光の影響を介して、ピエール・スーラージュが表面の連続性を断つことを可能にしました。彼はそこに鑑賞者も参加させます。見る位置を変えながら鑑賞することで、光と質感の効果の影響を受けて作品の印象が変わるのです。この黒のアプローチは、複数のパネルにまたがって壮大なスケールで広がっているだけに、よりいっそう強力なものになっています。その人を引き付ける力は、この作品を実現したテクニックと同様、力強いものなのです。
芸術と時計製造の対話
ピエール・スーラージュの作品の本質を理解し、自由に、しかし可能な限り忠実にその形式的かつ芸術的表現を再現すること。そしてこの作品のパワーとこの作品から受ける感動をとらえること。それがボーム&メルシエのチームが熱意を燃やしたチャレンジでした。
ウォッチのケースとダイヤルの一つ一つのディテールには、芸術的にも時計製造の面でも創作の感動が込められています。
芸術と時計製造の対話は、画家や作家と親交があり芸術に情熱を燃やす審美家ポール・メルシエが、 1918年に時計職人ウィリアム・ボームの共同経営者になり、 1920年に 2人がメゾン「ボーム&メルシエ」を設立して以来、ボーム&メルシエの歴史に不可欠な一部になっています。メゾンは芸術界との特別な絆を結びました。メゾンは特に、時計製造に関するノウハウと、デザイン性、斬新なフォルム、バランスの取れたボリューム、正確なプロポーションとラインを探求する芸術的感性を中心に確立された、今も常に受け継がれている時計製造に関するビジョンの基礎を築きました。この技術面と審美性の面における厳格さは、ギリシャ文字で黄金比率を表すファイマーク によって象徴されており、この文字はボーム&メルシエのエンブレムになっています。この歴史ある独創性は、年月を重ねるにつれてそれぞれのコレクションで際立っており、大胆さ、モダンさ、自由さが見事に 表現されています。
時間を芸術的に表現する、「ハンプトン」コレクション
キャンバスを連想させるすっきりとして無駄のないシルエットのレクタンギュラー型のケースとダイヤルを備えた「ハンプトン」コレクションは、 「 Peinture 324 x 362 cm, 1986,Polyptyque I 」 を再現するのに申し分のないウォッチです。
1960 年代のメゾンのモデルと1920年代のアールデコからのインスピレーションを受け継ぐ「ハンプトン」は、芸術への顕著なオマージュであり、 1994 年に発表されて以来、ボーム&メルシエが大切にする典型的なフォルムウォッチを体現しています。そのシンプルかつミニマルなデザインは、ごくわずかなディテールに至るまで再現された作品をエレガントに際立て、絵画を構成しダイヤルを飾る縦と横の重ね合わせのフレームの役目を果たしています。
技術面とデザイン面でのかなりの複雑さ
黒の研究から光の表現にいたるまで、課題は革新的な3Dプリント技術が必要になる、技術的にもデザイン的にも非常に複雑なものでした。 324 x 362 cm の絵画を、サイズ 48.11 x 31 mmで厚さ10 mmのウォッチケースで表現するという、これほど大きな作品の縮小化は、創意工夫と高度な専門性を要するものであり、ボーム&メルシエのチームにとってこのプロジェクトはとりわけ興味深々たるものでした。この前代未聞の芸術的冒険に熱意を燃やすピエール・スーラージュ自身が、いくつか の 希望を述べました。チームは、ウォッチの構成部品上の光のコントラストを際立たせることに特に気を配りました。
レーザー加工した真鍮とオイルストーンを用いることで、ぼんやりとしたマットな外観が生まれています。 また、電気分解の技法を用いることで、電解によって 0.2ミクロンの厚みでダイヤルをカラーで覆うことが可能になりました。
さらには厚さ 10ミクロンのセミマットの保護ラッカーも使用されています。これらの材料と技法によって、ボリュームを解放し、素材を加工し、光と影の交互の配置を美しく仕上げることができました。
ウォッチ「ハンプトンピエール・スーラージュへのオマージュ ポリプティック エディション」のダイヤルは、その上で縦の縞と斜めの縞がクロスする絵画の織を取り入れた黒の構図になっています。このダイヤルが作品のすべての視覚的なバリエーションに力を与えます。時針と分針は黒で、先端にはスーラージュが希望した彼の創造力と時間についての象形的なビジョンが色濃く現れた K18 ピンクゴールドの半球があしらわれています。
レクタンギュラー型のDLC 加工スティール製ケースはマイクロブラスト仕上げされた後、 6,000 ビッカースの硬さを与えるために、厚さ 2 ミクロンの水素化アモルファスカーボン膜を PACVD (プラズマ支援化学気相蒸着法)によって蒸着されています。このケースは、両面反射防止加工が施された、傷のつきにくいドーム型サファイアクリスタルによって保護されており、「 Baume Mercier 」の銘が、サファイアクリスタルの内側にメタライジングによって刻まれています。ケースバックもサファイアクリスタルで保護され、 4本のねじで留められています。そしてその上には「 Hommage à Pierre Soulages n°xxx/328 」と刻印されています。
ペルラージュ仕上げのブリッジなど丹念な仕上げが施されたこのタイムピースを動かしているのは、スイス製自動巻きムーブメント(ETA 2892)です。透明なケースバック越しに眺められる黒いローターは、コート・ド・ジュネーブ装飾されています。時分表示機能のあるこのウォッチには、42 時間のパワーリザーブと5気圧(約50m)の防水性能が備わっています。
ロレックスコピー n級品このウォッチは、アップルレザーのライニングをあしらったセルロース製ストラップを備えています。深みのある黒のストラップは、ケースを超えて、タイムピースが放つカラーの力強さを延長しています。工具を必要とせずに交換できる信頼性の高いストレートのバネ棒のシステムを備えており、互換性のあるストラップとの付け替えが可能です。ストラップは、 DLC スティール製ピンバックルで留めます。
スーラージュ・ミュージアムを想起させるボックス
ウォッチを収納する特別なボックス自体が、ロデーズのスーラージュ・ミュージアムの現代建築へのオマージュになっています。カタルーニャの建築設計事務所「 RCR アルキテクタス」が設計したこの建物は、 2017 年に建築分野における最高の賞である「プリツカー賞」を受賞しています。そして、ボックス全体がミュージアムの建物の囲いと同様にコルテンスチールでできています。 緑青の 虹色に煌めく錆のような 効果も また、時の流れをイメージさせます。
偉大な画家ピエール・スーラージュの技法 を謙虚に誇りをもって再現すること。彼の人柄と作品を称えること。この素晴らしい出会いを忘れずにいること。セートの邸宅で始まったクリエイティブな交流は、未来のタイムピースにインスピレーションを与え、ボーム&メルシエが大切にする時計製造の芸術的なビジョンを育み続けるでしょう。メゾンはこの比類ないアーティストの寛大さに、心より感謝の意を表します。